Bacchus-dogのブログ

当ブログの運営者、バッカスです。私立文系(現代文・古文・漢文・英語・日本史)で1年間の浪人生活を経て、早稲田大学に合格しました。このブログでは、浪人中に実際に使った参考書や勉強法、日々の過ごし方など、自分の体験に基づいた情報だけを発信しています。日商簿記2級の学習経験についても触れることがあります。同じように大学受験・浪人生活に向き合う方の参考になれば嬉しいです。最新情報はX(@bacchusblog)でも発信しています。

昼寝・仮眠は勉強の役に立つのか?研究データで検証する

勉強中、参考書を読んでいるうちに気づけばウトウトしていた——という経験は、受験生なら誰にでもあるはずだ。「甘えだ」「気合いが足りない」と自分を責めてしまいがちだが、実はここ数年の睡眠研究では、正しい取り方をした仮眠が学習効果を底上げすることが繰り返し確認されている。今日は「昼寝・仮眠は勉強の役に立つのか」というテーマを、実際の研究データをもとに検証してみたい。

この記事でわかること
  • 仮眠は「サボり」ではなく、記憶の定着やテストの点数を実際に押し上げるという研究データがある
  • ただし効果があるのはおおむね30分前後の短い仮眠で、10分では足りず、深く眠りすぎても逆効果になりうる
  • 受験生が仮眠を取り入れる際に気をつけたい具体的なポイントをまとめている

「昼寝は甘え」なのか? 仮眠と学習をめぐる誤解

受験勉強の現場では、長らく「眠気に負けるのは意志の弱さ」という空気があった。実際、机に突っ伏して寝てしまうと「時間を無駄にした」という罪悪感の方が強く残りやすい。しかし、脳のコンディションという観点で見ると、眠気を我慢して低いパフォーマンスのまま勉強を続けるより、短時間だけ意図的に眠ってから再開したほうが、結果的に定着率が上がるケースがあることが分かってきている。ポイントは「なんとなく寝てしまう」のではなく、時間を区切って意図的に仮眠を取ることだ。

参考書を読みながらウトウトと眠気に襲われる受験生のイメージ

30分の仮眠が記憶の定着を高める――2023年の研究

オーストラリアの研究チームがSLEEP誌に発表した実験(Leong et al., 2023)では、32名の若年成人を対象に、仮眠なし・10分・30分・60分という4条件を同一人物内で比較する形で検証した。仮眠中は脳波(睡眠ポリグラフ)で実際に眠っているかを確認したうえで、その後の記憶課題の成績を測定している。

結果、記憶の符号化(新しい情報を覚える力)を有意に高めたのは30分の仮眠だけだった。10分の仮眠や60分の仮眠では、記憶課題の成績に統計的に意味のある改善は見られなかった。一方で、気分の改善や眠気の軽減については、仮眠の長さを問わずどの条件でも見られている。

仮眠時間ごとの効果の違い

同じ研究の結果を仮眠時間別に整理すると、以下のようになる。

出典データの比較表
仮眠時間記憶の定着気分・眠気備考
10分有意な改善なし改善あり短すぎて定着効果までは届かない
30分有意に改善改善あり実用性と効果のバランスが最も良い
60分有意な改善なし改善あり(持続時間は長い)起床直後に一時的な処理速度の低下

授業前の仮眠でテストの点数が上がった――高校生76人の実験

2025年にNature系列のnpj Science of Learning誌に掲載された研究(Vidal et al., 2025)は、より受験生の状況に近い。アルゼンチンの高校で15〜17歳の生徒76名を対象に、授業の直前に仮眠を取るグループ(26名、学校の図書室で35分間の仮眠機会を用意し、実際の睡眠時間は平均17.21分)と、そのまま教室に残るグループ(50名)に分け、その後同じ生物の授業(25分間)を受けさせて20問の小テストを行った。

机に突っ伏して仮眠を取る学生のイメージ

結果は、仮眠を取ったグループの平均得点が53.46%、仮眠を取らなかったグループが43.00%と、10ポイント以上の差がついた。実際の学校現場・実際の10代を対象にした実験でここまで明確な差が出たのは興味深い結果だ。

仮眠は「長ければいい」わけではない

ただし、この研究には正直に紹介しておくべき意外な結果も含まれている。仮眠中の脳波を分析したところ、深いノンレム睡眠の割合が多い生徒ほど、かえってテストの成績が低いという負の相関(r=−0.46)が見られたのだ。反対に、浅い睡眠(ステージ1)の割合が高い生徒の方が、成績の伸びが大きかった。

POINT

研究チームはこの現象を「睡眠慣性(スリープ・イナーシャ)」で説明している。深く眠った直後は脳が完全に覚醒しきっておらず、頭がぼんやりした状態のまま授業が始まってしまう。仮眠から起きてすぐに何かを学ぶような場面では、眠りが浅いうちに切り上げる方がかえって都合がよいということになる。

ソファで技術書を顔にのせたまま眠り込んでしまった男性のイメージ

先に紹介したLeong et al.(2023)の結果と合わせて考えると、「仮眠は短すぎても長すぎても学習効果を発揮しにくい」という、やや地味だが誠実な結論になる。10分では定着効果が足りず、60分では起床直後の処理速度が一時的に落ち、深く眠りすぎると睡眠慣性で逆効果になりうる。ちょうどよい長さを見極めることが重要だ。

受験生が仮眠を取り入れるときのポイント

ここまでの研究データを踏まえて、受験勉強に仮眠を取り入れる際に意識したい点を整理する。

チェックリスト
  • ✓仮眠は20〜30分を目安にし、必ずアラームをセットしてから寝る
  • ✓暗記・記憶系の勉強の後に仮眠を挟むと、定着を後押ししてくれる
  • ✓仮眠明けにすぐ問題を解く必要がある場合は、無理に長く眠ろうとしない
  • ✓起きた直後は頭がぼんやりしやすいので、数分だけ軽く体を動かしてから勉強に戻る
  • ✓夕方以降の仮眠は夜の睡眠に響きやすいため、できるだけ午後の早い時間帯に取る

「眠気に負けた」と自分を責める前に、いったんタイマーを30分にセットして目を閉じてみる。それだけで、その後の数時間の勉強効率が変わるかもしれない。

出典・参考文献
  • Leong, R.L.F., et al. (2023). "Influence of Mid-Afternoon Nap Duration and Sleep Parameters on Memory Encoding, Mood, Processing Speed, and Vigilance." SLEEP, 46(4), zsad025.
  • Vidal, M.C., et al. (2025). "Short naps improve subsequent learning in a high school setting." npj Science of Learning.

今日はこの辺で。

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